仙尾部奇形腫Sacrococcygeal teratoma
疾患の説明
仙尾部奇形腫は、仙骨の先端に発生する腫瘍であり、臀部外側や骨盤腔内・腹腔内に進展し、充実性や嚢胞性など多様な形態を示す。尾骨の先端にある多分化能細胞(Hensen's node)が起源であり、内胚葉・中胚葉・外胚葉のすべての組織成分(骨・歯・毛髪・脂肪・神経・消化管上皮など)を含むことがある。多くは良性腫瘍であり、予後も良好とされるが、巨大化すると胎児心不全や播種性血管内凝固(DIC)などの重篤な症状を引き起こす場合がある。周産期医療の進歩により長期生存が可能となった一方で、遠隔期の合併症(再発・悪性転化・排便障害・排尿障害・下肢運動障害)が課題となっている。
活動の概略
本研究は、乳児仙尾部奇形腫の長期予後を明らかにするため、全国の日本小児外科学会認定施設を対象にアンケート調査を実施した。2000~2019年に治療を受けた生後180日以上生存の症例を対象とし、診療録の情報を匿名化して収集・解析した。結果、355例のデータが集まり、23.4%に排便・排尿・下肢運動障害などの後遺症、11.8%に再発が確認された。リスク因子として、早産や腫瘍の大きさ、未熟・悪性腫瘍、切除不完全などが挙げられる。本研究成果は、国内外の学会で発表・論文化され、今後の診療ガイドライン改訂や政策医療への反映が期待される。